法律の適用範囲と目的

クレジットカードが適用を受ける法律は民法などの一般法はもちろんですが、関係する特別法としては割賦販売法と貸金業規制法(2006年12月20日に公布され、貸企業法と名称変更。以後、貸企業法といいます)があります。割賦販売法はショッピングの一部に適用になり、貸金業法はキャッシングのほとんど全部に適用になります。付け加えていえば、ほぽ一般法といってよいと思いますが個人情報保護法ともクレジットカードは深い関わりがあります。

まず割賦販売法から見ていきましょう。この法律にクレジットカードという言葉は出てきません。定義(第二条)のところで出てくるのは、割賦販売、ワーン提携販売、割賦購入あっせんという三つの形態だけです。それぞれに個品方式、クレジットカードを用いた分割払い方式、同じくリボルビング払い方式の取引があります。

クレジットカードでも、ハウスカードといわれている自店だけで利用できるカードの場合は、自由にカードを発行することができますが、カードホルダーと加盟店の問に第三者としてカード会社が入るあっせん型のクレジットカードの場合は、経済産業省に割賦購入あっせん業者として登録する必要があります。

割賦販売法は一丸六一年に制定された法律で、当時の政府の仕事は規制を通じて市場をコントロールすることにありましたから、この登録制度は長いあいだ閉ざされたままでした。しかしバブル経済崩壊後の規制緩和政策によって、規制の最後の砦だった銀行にもこの登録が認められるようになりました。現在は、どのような業態の会社でも要件さえ整えば割賦購入あっせん登録を受けられ、クレジットカードを発行することができます。

また制定当時の割賦販売法に消費者保護という考え方はありませんでした。この考え方を政府が取り入れるようになったのは、一九六八年に消費者保護基本法が制定されてからのことです。その後、一九七二年の割賦販売法改正のときに目的規定(第一条)の中に「購入者等の利益を保護する」という言葉が加えられ、消費者保護法に衣替えしています。

消費者保護以外の目的が何かというと、「割賦販売等に係る取引を公正にし、その健全な発達を図ることにより、商品の流通を円滑にし、もって国民経済の発展に寄与する」ことです。さらにこの法律の運用に当たっては、「割賦販売等を行なう中小商業者の事業の安定及び振興に留意しなければならない」とやはり目的規定に書かれています。

割賦販売法が消費者保護法であることは重要ですが、業界の変化によっていろいろ岨酷を来たしている面も否めません。

オンアス取引

クレジットカードが国内外を問わず、限りなくたくさんの店で使えるのは、その店と契約しているカード会社(アクワイヤラー)が、クレジットカードを発行している会社(イシュアー)と必ずしも同じでなくても使える仕組みがあるからです。

しかしアクワイヤラーとイシュアーが同じ場合があります。このような取引をオンアス取引といいます。契約関係は店とカード会社の間には加盟店契約があり、カード会社とカードホルダーの間には会員契約があります。つまり契約の当事者として登場するのは、このカード会社、加盟店、カードホルダーの三者だけです。

カードホルダーとカード会社の間で結ばれる会員契約は、立て替え払い契約あるいは債権譲渡契約が基本になります。カードホルダーが加盟店で買い物した代金を、カード会社が利用者に代わって(あるいは債権譲渡を受け)加盟店に一括で支払い、その代金をカードホルダーがカード会社に支払うという内容です。

加盟店契約は、カード会社の発行するクレジットカードを待ったカードホルダーが、契約先の加盟店で商品やサービスの購入をカードで決済することを求めた場合、加盟店はそれを拒むことなく現金客と同じように、加盟店契約所定の手続きの上販売するという内容です。その代金はやはり所定の手続きによって、カード会社に請求すればカード会社はそれを加盟店に支払います。加盟店への支払いは、だいたい月に二度の締切日と支払日となっているのが一般的です。

オンアス取引の基本的な形はこのような仕組みになっていますが、最近ではこの基本形をペースにした契約形態の方が実際の取引では多くなっています。例えば海外でクレジットカードを利用できるのは、海外の加盟店が国内のカード会社と加盟店契約を結んでいるからではありません。これから説明するように、カード会社が結ぶ二つの契約がそれぞれ独立した業務として存在できるように幅広い提携が行われているからです。

そこでカード会社の大きな収益源になっているのがキャッシングサービスといわれる消費者金融から上がる金利収入です。ショッピングの場合はだいたい年利13~15%くらいがその料率ですが、キャッシングの場合は、会社によって異なりますが、その倍程度の金利となっています。カード会社のカード業務から得られる収益に占める割合も、キャッシングからの方が多いのが一般的です。

カード会社は、ショッピングに対するサービスをポイントのような形で付加しながら、キャッシングからの利益を期待しているというのが現実です。しかし改正貨金業法の施行によって法定金利が下がりますから、カード会社はビジネスモデルの変更を余儀なくされます。

とはいってもクレジットカードが消費者取引の道具として、ID機能や販売促進機能を駆使して顧客の固定化に貢献するものであることは確かです。そこで最近では、あらゆる業態からこの分野への参入が進んでいます。従来は銀行系、信販系、流通系、メーカー系などの区分けが簡単にできたのですが、パブル経済崩壊後の金融再編の影響もあって、もはやこのような業態区分はあまり意味のないものになってしまいました。

特に金融構造の変化によって、優良な貸出先の少なくなった銀行からのこの分野への進出が著しいものとなっています。簡単にいえば従来の大口の間接金融(ホールセール)から、小口の直接金融(リテールファイナンス) への転換です。つまり高利回りの金融収益を狙った進出ということができます。またネットビジネスからのこの分野への進出も進んでいます。